「多摩地区そして日本各地の画像集」管理人・S崎の都市訪問記


2009年7月31日・シンガポールとジョホールバルの夜は更けて



少し早めの夏休みを頂き、4月の台湾以来、3ヶ月ぶりに海外旅行に出掛けました。
今回の目的地はシンガポールです。
夜勤をこなした後、そのまま立川からリムジンバスに乗り込み、1週間前に千葉県の街めぐりの際に辿ったルートそのままに
成田空港へ。JAL711便で一路シンガポールを目指します。トランジット客の搭乗待ちで約1時間遅れで離陸、シンガポールの
チャンギ国際空港には現地時間の午前0時半頃に到着しました。ちなみにシンガポール時間は日本時間に比べて1時間遅れ
ています。
空港からタクシーを拾い、ホテルのあるゲイラン地区に向かいます。タクシーのドライバーがよく喋る人で、「シンガポールには
日本人が2,000人住んでいる」「シンガポールで一番売れているビールはタイガービールだ」「シンガポールで一番人気のある
車はトヨタだよ。俺の車はヒュンダイだけど」「もうすぐ世界で一番大きな観覧車がシンガポールに出来る」などと色んな情報を
もらいました。
夜中に関わらずホテル周辺は開店している飲食店が散見されます。この地区は歓楽街になっているようです。この日はこのま
まホテルで熟睡しました。

初日
翌朝、午前9時に起床しました。このホテルにはレストランが付いていないので、軽く身支度をして、早速街中に繰り出します。
ホテルの近くにあったホーカーズでブランチを摂ります。ちなみにホーカーズとは屋台街の事をシンガポールでこう呼びます。
ホテルのあるゲイラン地区はシンガポールの中心部の東郊に立地しています。まずはMRT(シンガポールの都市交通システ
ムの事)カラン駅を目指します。
 ←宿泊先のゲイラン地区の様子

MRTを乗り継ぎ、まずはシンガポール随一の繁華街と言われるオーチャード地区を訪れました。
オーチャード地区は中心部の西端に立地する地区で、オーチャードロードというメインストリート沿いに高島屋や伊勢丹などの
日系百貨店などの大型商業施設やメリディアン、ヒルトン、フォーシーズンズなどの高級ホテルが立ち並ぶ繁華街となっていま
す。この地区には本当に大型建築物しか見当たらず、個人商店は皆無です。ここまで徹底した大型店中心のストリートというの
は日本ではあまりお目にかかれないですね。そういった意味では面白いですが、商店街マニアの私にはあまり見るべきものの
ない地区でした。
オーチャードロードを西に進むと、シティ・ホール地区に至ります。この地区がシンガポールの中心地区と位置づけられています。
地区名の由来ともなっている市庁舎をはじめ、国会議事堂や最高裁判所などの公共施設やコンサートホール、大型広場などが
並びます。この地区はマリーナに隣接しており、シンガポールのランドマーク・マーライオンもすぐ近くに立地しています。
この地区も大型の建築物を中心に整備されています。これらの地区は超近代的という言葉が似合うような整備状況です。日本で
言うと東京の丸の内や霞ヶ関をもっとハイセンスにしたイメージです。これらの地区を見ているとシンガポールがガーデンシティと
呼ばれる理由が理解出来ます。
 ←左・シティ・ホール地区から望むシンガポールの摩天楼

 ←開発が進むマリーナ周辺。右手前はマーライオン

この後、シティ・ホール地区の北に隣接するブギス地区を歩きました。この地区はMRTブギス駅を中心にした地区です。この地区
にもオフィスビルやショッピングセンターが立地していますが、ブギス・ストリートという全蓋式アーケード付きの市場と、アルバート・
ストリートという屋台などが並ぶ通りがメインになっている繁華街で、やっとアジア的な雑踏感のある地区に辿り付けた感じです。
当然、私のテンションも一気に上がりました。ブギス・ストリートという市場は若い女性向けのファッションショップなどが多数立地して
おり、日本で言うと大阪のアメリカ村や東京の原宿の雰囲気が漂う一画です。Pedestrian mallという通りには中国式の寺院とヒンズー
教の寺院が隣接しており、多民族国家・シンガポールを実感できます。
ちなみにブギス・ストリートの屋台で飲んだマンゴージュースがとても濃厚で、今まで飲んだジュースの中では最高の美味でした。

この後、路線バスでボート・キー地区を訪れました。ボート・キーはシンガポール川の河口付近に立地する地区で、シティ・ホール地
区とはシンガポール川を挟んで隣接する地区です。この地区は河口の倉庫街として栄えた街で、現在では川沿いに洒落たレストラ
ンやバーが並びます。川沿い以外にも周辺のサウス・ブリッジロードやCarpenter通りなどには中小商店が多数立地しており、商店
街マニア的には歩き応えのある地区でした。
この後、ボート・キー地区の西に立地するMRTラッフルズ・プレイス駅周辺を歩きました。ここは超高層ビルが多数立地するオフィ
ス街となっています。
ラッフルズ・プレイス駅からMRTでシティ・ホール駅まで移動し、シティ・ホール駅に隣接するCityLinkという地下街を歩きました。
この地下街はまだ出来て間がないのか、とても綺麗で明るいイメージを受ける地下街でした。全長は約500mほどですが、気温の
高いシンガポールでは地上を長距離歩くのは難儀するので、多くの人通りで賑わっていました。
 ←地下街・City Link

この日は、この後、スーパーを覗いて、朝とは別のホーカーズでアラビア風の焼きそばを食した後、路線バスを乗り継いでホテルま
で戻りました。
昨晩は気付きませんでしたが、ホテル周辺はピンク色のネオンが輝く怪しい店が並んでおり、そういう地区の様です。客引きもいま
すが、しつこくはありません。治安が悪い風には見えませんが、猥雑な雰囲気がぷんぷんする地区です。個人的にはこういう地区は
好きですが(そういう店が好きという意味ではありません)、未成年者や女性はゲイラン地区での宿泊は控えた方が良いかもしれま
せん。

二日目
二日目は8時頃に起床。昨日と同じホーカーズでナシゴレンを食した後、路線バスに乗り込み、まずはアラブ・ストリート地区を目指
します。アラブ・ストリート地区はブギス地区の北東に立地する地区です。「アラブ」と名前が付いていますが、アラブ系の人はあまり
目立たず、マレー系のイスラム教徒を中心とした地区になっているようです。この地区にはシンガポール最大のイスラム寺院・サル
タンモスクを中心に、いくつかの商店街を中心に形成されています。アラビア風の衣装や雑貨を扱う商店が並び、道行く女性はベー
ルを身に着けています。日本から来たものには異国を感じさせる風景で、こういう風景に出会えるのが海外旅行の醍醐味でもあり
ます。

この後、アラブ・ストリート地区の北西に立地するリトル・インディア地区を訪れました。今度はインド系の住民が多く住む地区です。
シャラン・バザール通りとセラングーンロードという二つの通りに囲まれた一帯にインド風の衣装や雑貨を扱う商店やレストランが多
数立地しています。今度は道行く女性はインドの民族衣装であるサリーを身に着けています。私はインドを訪れたことはありません
が、すっかりインドを訪れた気分になります。せっかくなのでインドカレーでも食べようかと思いましたが、暑くて食欲があまり沸かな
いので、パスしました。

リトル・インディアを訪れた後、MRTでクラーク・キー駅まで移動しました。
クラーク・キー地区はボート・キー地区の西に立地する地区で、ボート・キー地区と同じく、シンガポール川に沿って整備された地区で
す。この地区はオープンモール型のショッピングモールとして整備されているようで、歩きやすかったのですが、商店街マニア的には
あまり面白くありませんでした。

この後、徒歩でチャイナ・タウンを訪れました。MRTチャイナ・タウン駅を中心とした地区です。
ここは文字通り中華街です。ニュー・ブリッジ・ロードとサウス・ブリッジ・ロードという2つの大通りに囲まれた一画に中華風の雑貨な
ど扱う商店が密集しています。Pagota、Smithという2つの歩行者専用通りがあります。この地区は中華系の人も多いですが、観光
地としての側面も強く、欧米からの観光客も目に付きます。この地区にはスリ・マリアマン寺院というシンガポールで最古のヒンズー
教寺院も立地しています。なぜチャイナ・タウンにヒンズー教寺院が立地しているのか不明です。
この地区の西に南北に伸びるクラブ・ストリート沿いには洒落た欧風レストランやバーが並ぶ通りもあります。

シンガポールは19世紀に人種別の居住区が設定されており、この日訪れた3つの地区はその居住区をそのまま引き継いだ地区だ
と思います。各地区ごとに趣きが全く異なり、見事なコントラストになっています。日本という同一性の強い文化圏で生活している人
間にとって、僅かな面積にこれだけの多様な街区が形成されているシンガポールの街に非常に感銘を受けました。
  
↑アラブ・ストリート                   ↑リトル・インディア                   ↑チャイナ・タウン

この日はチャイナ・タウンでお土産を簡単に買い込み、チャイナ・タウンの近くのホーカーズでシンガポール名物のチキンライスを食し
た後、シンガポール川沿いを少し散歩して、路線バスを乗り継ぎ、ゲイラン地区に移動、昼抜きで歩き回ったため、まだ少しお腹がす
いていたので、ホテル近くのホーカーズでポークカレーを食し、ホテルに戻りました。

三日目
この日が早くも旅行最終日となります。
今日は国境を越えて、マレーシアのジョホールバルを目指します。
朝7時に起床し、路線バスでブギス地区に移動します。この地区からジョホールバルへの高速バスが発着しています。
まずはバスセンター前のホーカーズで腹ごしらえをした後、バスセンターに向かいます。国境を越えるバスが発着するバスセンターと
は言え、こじんまりとしたもので、ちょっとした駐車場のような規模しかありません。
2ドル40セント払い、バスに乗車。バスは高速を通り、一路国境を目指します。車窓の風景は眩い緑が茂る風景で、ここでもガーデン
シティ・シンガポールを実感出来ます。
ブギス地区から小1時間で国境のあるウッド・ランズに到着、ここでバスを降りて、シンガポールの出国審査を受け、再びバスに乗り込
みます。コーズウェイという橋を渡り、再びバスを降りて、今度はマレーシアの入国審査を受け、晴れてマレーシア入国。
出入国の建物を抜けると、すぐにジョホールバルの中心市街地が広がっています。

ジョホールバルは人口80万人を超える大都市で、首都・クアラルンプールに次ぐ都市と言われています。
中心部は南北約1キロ、東西約500mの範囲にコンパクトにまとまっています。
出入国の建物には大型ショッピングセンターが隣接しており、物価の安さにひかれて、シンガポールからの来客者も多いようです。現
にショッピングセンター内の両替所には人だかりが出来ていました。
街中は綺麗に整備されたシンガポールから来ると随分と汚れた街に見えますが、庶民的な活気に満ちており、個人的にはボルテージ
が上がる街でした。
街中の看板はマレー語で、道行く女性の大半はイスラムのベールを被っており、僅かな海峡とはいえ、国境の存在を感じさせる風景に
なっています。
街中は思っていたよりもコンパクトで、街歩きは短時間(約3時間ほど)で終わりましたが、せっかくなので、大衆食堂で食事をしたり、ショッ
ピングセンターで地図や洋服を買ったり、喫茶店でコーヒーを飲んだりして、のんびり街を楽しみました。
  ←ジョホールバル中心部の風景

いよいよ帰国の途につきます。
まずは朝とは逆のルートでシンガポールに戻ります。ジョホールバルとシンガポールの間は人の往来が激しく、多くの人が行き交って
います。しかもみんな気楽な格好で、新宿駅や梅田駅にいる人たちとなんら変わらない格好です。陸の国境がない日本人にとっては
国境越えというのは特殊な行為ですが、この地域の人たちにとっては日常の行為なんでしょうね。
 ←コーズウェイの様子。手前がマレーシア、奥がシンガポール

ブギス地区から路線バスに乗り、ゲイラン地区に行き、ホテルに預けていた荷物を回収した後、MRTでチャンギ国際空港へ移動。
空港内のフードコートでシンガポール最後の晩餐としてチキンライスを食しました。
帰路はJAL710便を利用しました。22時40分に離陸し、成田空港には定刻の6時35分に到着。
成田からリムジンバスで八王子に帰宅しました。

今回、初めてシンガポールを訪れましたが、初日に訪れた超近代的な街と、二日目に訪れた各民族のカラーが前面に出た地区との
対比がとてもエキサイティングで楽しめました。
海外旅行情報を調べる過程で「シンガポール人は冷たい」などと書かれている文章を何回か目にしましたが、私は全く逆の感想で、
シンガポールの人たちはとても親切な人たちに感じました。食べ物もとても美味しく、またいつかは絶対に再訪しようと思います。
また、ジョホールバルを訪れた事でマレーシアという国にも興味が一段と沸きました。ジョホールバルの書店でマレーシアの地図を買
い込んだので、次はクアラルンプールでも訪れてみようと思います。

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【私の近況】
会社の友人と山梨県を訪れました。ボタン鍋という食べ物を初めて食べました。

【本日のBGM】
「港のフェスタ」渡辺真知子(作詞・伊藤アキラ 作曲・渡辺真知子 編曲・船山基紀 1979年)
ああ 港まつりよ
踊る渦を遠く離れて
ああ ひとりぼっちあなたが 見えるわ
篝火きらきら 暗闇おぼろ
真実は光と影の中