「多摩地区そして日本各地の画像集」管理人・S崎の都市訪問記
2009年11月20日・鳥取から米子まで商店街を追って 西へ流れて行く男
昨年の5月に山口県を訪れて以来、久しぶりに中国地方を訪れました。
今回の目的地は2005年10月に訪れて以来、5年ぶりに鳥取県を訪れました。
八王子駅北口前発4時35分のリムジンバスで羽田空港へ。羽田からはANA293便で一路鳥取空港を目指します。
鳥取空港でレンタカーに乗り込み、最初の目的地の岩美町には9時過ぎに到着します。
岩美町
岩美町の中心部はJR岩美駅から浦富海岸にかけての一帯になります。
JR岩美駅前の県道164号線沿いに商店街が形成されています。この県道164号線と浦富海岸を結ぶ県道155号線沿いにもある程度
の商店の集積が見受けられますが、商店街は形成されている様子はありません。
岩美駅から北に800mほど進んだ浦富海岸の南側の一体には浦富商店街が形成されています。
もともとの集落が浦富地区で鉄道の開通とともに岩美駅周辺にも商店街が形成されていったものと推測されます。
ちなみに、岩美町の中心部から東に4キロほど進むと兵庫県との県境が立地しています。街中にも姫路ナンバーの車が散見されます。
この日は不安定な天候で、岩美町を歩いている間は晴れていたのですが、街歩きを終えて車に乗り込んだ途端に土砂降りの雨が降っ
てきました。
郡家
岩美町を後にし、次に訪れたのは八頭町の郡家です。
八頭町は2005年に郡家、船岡、八東の3つの町が合併して出来た町です。
郡家には昭和の時代から郡名を八頭を冠した高校が設立されており、古くから周辺地域の中心地としての役割を担っていたものと思
われます。
商店街は郡家駅前から東に伸びる県道173号線沿いと、郡家駅から南に伸びる県道287号線沿いに形成されています。
小規模な商店街ですが、街自体が山間部の狭隘な土地に形成されており、中国地方山間部に独特の密集感のある街並みが形成さ
れています。
若桜
若桜は鳥取と当地を結ぶ若桜街道の宿場町として栄えた街です。
若桜の街のメインストリートは若桜駅の南側に東西に伸びる県道176号線と県道103号線になります。この通りは「カリヤ通り」とも呼
ばれています。「カリヤ」とは信北日本で見られる雁木のような片屋根式アーケードの事を指します。「雁屋」もしくは「雁家」という漢字
を当てはめるのではないかと思われます。通り沿いには新しい建物も混じっており、先月訪れた青森県黒石市の「こみせ通り」のよう
な歩道全面がアーケードで覆われているような状況ではなく、一部の建物にその名残が見受けられるような状況です。
県道176号線の一つ北には昔ながらの蔵造りの街並みが残る蔵通りという通りもあり、全体的に風情のある宿場町の趣を感じさせる
街でした。歴史的な景観に興味のある方は訪れてみて損はないと思います。
←蔵通り
智頭
次いで智頭町を訪れます。若桜・智頭間には県道6号線が通っているのですが、この通りは全線開通していないので、智頭を経由し
て移動します。
智頭町は川(千代川、土師川)、道路(国道53号線、国道373号線)、鉄道(JR因美線、智頭急行)と全てが「ト」型に交わる要衝の地
です。智頭の街は因幡街道と備前街道の宿場町として栄えた街で、智頭駅前から北に伸びる県道272号線沿いに昔ながらの商店が
並ぶ商店街が形成されています。この県道272号線が旧備前街道になります。旧因幡街道は国道373号線の一つ北側の通りに辺り、
この通り沿いには商店街は形成されていませんが、昔ながらの街並みが保存されており、ちょっとした観光地となっています。
←土師川沿いの風景
西粟倉村
この日、最後の訪問地は県境を越えて、岡山県の西粟倉村を訪れました。
村を南北に貫く国道373号線を西粟倉村から村役場まで歩いてみましたが、中小商店は散見されるものの、特に商店街らしい商店街
は見受けられませんでした。まあ、西粟倉村の人口は1,600人ほどなので、この状況は仕方がないでしょう。
私が西粟倉村を訪れた時に丁度、2年前の参院選において「虎退治」で名を馳せたM党のH参議院議員が遊説に訪れていました。そ
う言えば彼女の選挙区は岡山県だったな、とこの時、県境を存在をを妙に実感しました。
この後、西粟倉温泉で湯浴みをした後、宿泊先の鳥取市へ移動。駅前のホテルにチェックインした後、中心部のラーメン屋で夕食を摂
りました。鳥取市中心部にも中規模のマンションがいくつか建設されており、以前訪れた時と若干、街並みに変化が見受けられました。
あと下世話な話ですが、鳥取駅前で高校生の集団を何組か見ましたが、制服姿の女の子は皆、くるぶしまであるような長いスカートを
はいている子が多かったです。こうしたロングスカートの制服を着用するのは神戸方面のファッションらしいので、鳥取県内の流行は神
戸の影響が強いのかな、と思いました。
32歳にもなって高校生の制服について考察しているなんて我ながら気色悪いと反省しながら、ホテルに戻り、就寝しました。
←夜の鳥取市中心部の様子
翌日は7時に起床し、ホテルで朝食を摂った後、9時前にホテルを出発。国道9号線を西進し、湯梨浜町の松崎地区を目指しました。
松崎
松崎は東郷湖の湖畔に立地する街で、周辺は東郷温泉が沸いており、温泉旅館なども立地する街です。
商店街は松崎駅前より北東に伸びる通り沿いに松崎商店街が形成されています。全長800mほどの商店街で、途中、鍵型に曲がって
いる箇所もありました。古い商店も多く残っており、歩いていてなかなか楽しめました。並行して伸びる県道22号線沿いにも商店が集積
されていました。
松崎は東郷湖の東に立地している街ですが、同じ東郷湖の西には羽合温泉が立地しており、松崎からは羽合温泉の温泉街の様子を
望む事が出来ます。遠目で見る限りだと、羽合温泉の方が大型旅館などが多く、温泉街としては羽合温泉の方が繁盛しているようです。
三朝温泉
松崎を訪れた後、県道29号線、21号線を経由し、三朝温泉を訪れました。私が訪れた時は市民駅伝のような大会が催されていました。
三朝温泉は山陰地方を代表する温泉街だけあり、貫禄を感じさせる温泉旅館や公共浴場が軒を連ねています。
三朝川の南側に並行して伸びる温泉本通り商店街という商店街が形成されており、この商店街は飲食店や温泉旅館のほか、射的場
やヌード劇場なども立地する古き良き温泉街の風情が残っていました。山間、川沿い、幅員の狭い商店街とまさに日本の「正しい温泉
街」といった趣があります。こういう温泉街には末永く頑張っていただきたいと思っています。
←温泉本通り商店街
倉吉
三朝を後にし、次いで倉吉市を訪れました。
倉吉駅前の駐車場にレンタカーを停めて、倉吉市の中心部のある倉吉市役所方面まで歩いてみました。
倉吉市は鳥取県中部の中心都市だけあり、駅前にはビジネスホテルなどが建ち並ぶ景観となっています。
駅前から南方向に伸びる県道22号線沿いには業務ビルや各種商業施設が並んでいますが、中心部と郊外の中間の様な景観が続き
ます。県道22号線を南進すると、120度ほどカーブし、西南に進みます。そして天神川を渡ると県道38号線に至ります。この県道39号
線沿いは郊外の景観が続きます。倉吉駅からこの県道38号線の住吉町バス停付近まで約3キロほどあります。
この住吉町バス停から西側がいよいよ倉吉市の中心部になります。
県道38号線は上記の住吉町バス停付近で120度ほどカーブし、西方向に向かいますが、この通り沿いに倉吉銀座商店街が形成され
ています。この商店街は約1キロに渡る長い商店街で歩き応えがありました。ただ、この商店街沿いにある地場の百貨店「ホテイ堂」
が閉店していたり、やはり中心商店街を取り巻く状況は厳しいものがあるようです。
ただ、県道38号線の南側一帯には古い蔵作りの街並みが保存されており、ここが観光地化されています。私が訪れた時は多くの観
光客で賑わっており、明るい兆しも見られました。
倉吉銀座商店街に並行して伸びる新町、本町の両通り沿いにも商店街が形成されています。特に本町通り沿いには歴史を感じさせ
る商店が多数残っており、歩いて楽しめました。この本町通りにはかつて全蓋式アーケードが設置されていたのですが、現在では残
念ながら撤去されています。また、倉吉銀座、新町通り、本町通りなどと南北で交わる打吹大通り、打吹公園通りなどの商店街も形
成されています。
上記の通り、歴史を感じさせる商店街多く、一部の裏路地などには味のある飲食店街も形成されていたりするので、街歩き好きには
楽しめる街だと思います。
中心部を一通り周り終えた後、路線バスで駅まで戻りました。
←倉吉銀座商店街
由良
次いで北栄町の由良を訪れました。
由良は旧大栄町の中心地で、山陰道の宿場町として栄えた街です。
JR山陰線の北側に伸びる旧山陰道沿いの約500mほどの区間に昔ながらの商店が並ぶ商店街が形成されています。緩やかなカー
ブを描いていたり、小さな川に架かる橋があったりと、街道沿いの風情が残った商店街となっています。
また、由良の街は漫画「名探偵コナン」の作者・青山剛昌氏の出身地で、駅前や商店街には「名探偵コナン」をモチーフにした銅像や
レリーフが飾られています。同じ鳥取県の境港市が「水木しげるロード」で成功を収めたのを機にこのような企画がなされたのかな、
と推測されます。
浦安
今回、最後の訪問地は琴浦町の浦安です。
浦安地区は浦安駅と国道9号線の間に南北に伸びる通り沿いに商店が集積されています。この通りは恐らく駅の開通により形成され
た商店街だと思われます。日本海まで歩いた時点で日没となりました。大山方面に沈む夕陽を綺麗に拝むことが出来ました。
琴浦町は本当は赤碕地区も訪れたかったのですが、上記のように日没となり、飛行機の時間も合ったので、歩く事は出来ませんでし
たが、車窓から眺めるのに留めました。県道267号線沿いに密集感のある集落が形成されていましたが、特に商店街などは形成され
ていないように見受けられましたが、夜間に車を運転しながらなので、実際のところはよく判りませんでした。また、いずれ再訪して、じっ
くりと歩いてみたいですね。
赤碕をざっと車で走った後、国道9号線経由で米子空港まで移動したのですが、途中、日吉津村の辺りで渋滞しており、少し焦りました。
東京行き最終便の時間にはなんとか間に合い、ANA820便にて帰京の途につきました。
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「地域再生の条件」本間義人(岩波新書)
【本日のBGM】
「時の過ぎゆくままに」沢田研二(作詞・阿久悠 作曲・大野克夫 編曲・大野克夫 1975年)
時の過ぎゆくままに この身をまかせ
男と女が ただよいながら
もしも二人が 愛せるならば
窓の景色も かわってゆくだろう