「多摩地区そして日本各地の画像集」管理人・S崎の都市訪問記

2009年12月26日・光州・大邱・大田〜韓国の地方中枢都市めぐり


大久保で思ったほど韓国気分が味わえなかったから、という訳ではありませんが、韓国旅行に行ってきました。
2007年5月に初めてソウルを訪れてから3度目の訪韓になります。
ソウル、釜山の二大都市はすでに訪れているので、今回は地方都市を周ってみました。
夜勤をこなした後、一度帰宅し、八王子駅前発16時25分の羽田空港行きリムジンバスに乗り込みます。乗客は私一人だけでした・・・
途中、バスの車窓から五星紅旗が掲げられているのが見えました。そう言えば中国の国家副主席が来日して天皇陛下と会うだのな
んだの新聞に書いてあったな、とウトウトしているうちに、羽田空港第2ターミナルに到着。ターミナル間無料連絡バスに乗り込み、驚
くほど小さな羽田空港国際線ターミナルへ移動。周りは既に韓国語が飛び交い、わくわくしてきました。
そのまま、19時35分発アシアナ航空1035便にてソウルへ。ソウルの金浦空港には定刻よりやや遅れて22時10分頃に到着しました。
 
羽田空港から               →金浦空港へ

金浦空港から地下鉄に乗り込み、鉢山駅へ。ちなみに鉢山は「Balsan」と発音するのですが、日本人にとっては殺虫剤の名前ですね。
この日は鉢山駅から歩いて10分ほどの所にあるホテルにチェックインしました。早く寝ようと思っていたのですが、TVをつけると、在
韓外国人(日本人もいた)たちによるトーク番組をやっていました。私は韓国語はほとんど聴き取れないので、何を言っているのかは
解りませんが、イタリア人やフランス人が韓国語を流暢に話している姿が妙にシュールでついつい最後まで見てしまいました。

初日  ソウル→光州→大邱
翌朝、午前5時半に起床。6時にチェックアウトし、再び金浦空港を目指します。
まだ外は真っ暗ですが、路線バスには結構お客さんが乗っており、さすが大都会・ソウルは朝も早いと思いました。
金浦空港に6時半過ぎに到着し、国内線ターミナルのアシアナ航空カウンターにて光州空港行きのチェックイン手続きをします。ここ
の職員のお姉さんはややたどたどしいながらも日本語で手続きをしてくれました。
空港内のフードコートでキンパブ(韓国風海苔巻き)の朝食を摂った後、金浦空港発7時45分発アシアナ航空8701便に乗り込みます。
外国の国内線に乗るのは初めてですが、日本の国内線の雰囲気と全く同じ雰囲気でした。
金浦空港離陸後、地上には中高層の集合住宅が建ち並ぶ風景でしたが、やがて田畑の目立つ景色に。しかし、離陸して10分後くら
いには靄がかり、外の景色は拝めませんでした。
光州空港には8時35分に到着。市街地へ向かう路線バスを探しましたが、よく判らなかったので、タクシーに乗り込みます。
タクシーの運転手は寡黙なおじさんで、光州駅に着くまで、一言も口を開きませんでした。

光州は朝鮮半島の南西部に立地する都市で、この地方(湖南地方と称される)の中心都市になります。
この都市は韓国では民主化運動の聖地と呼ばれる都市で、1980年に当時の軍事政権に対する大規模な民主化運動と、それに対す
る軍部の弾圧である光州事件によって世界にもその名を知られている都市です。
光州駅は街の中心部からは1キロほど離れた場所に立地しており、周辺はオフィスビルや百貨店が立地していますが、町工場やモー
テルも多く、下町的な雰囲気になっています。
街の中心部は上述の1980年の光州事件の際に集会が開かれた旧全羅南道庁周辺になります。ちなみに現在、道庁は務安という街
に移転しています。
中心部を東西に貫く大通り・錦南路沿いにはオフィスビルが建ち並び、地方中枢都市の貫禄を感じさせる景観が形成されています。
また、この通りに沿って地下鉄も走っています。また、この通りの地下にはかなり大規模な地下街も形成されています。冬の寒さが厳
しい時期だったからか、地上よりも地下街の方が通行量は多かったですね。この錦南路の南側一帯に密集感のある繁華街が形成さ
れています。旧全羅南道庁に近い場所ほど、若者向けの商店が多く、賑わいを感じます。
韓国の街めぐりの楽しみと言えば、ソウルの東大門や釜山の国際市場などに代表される全蓋式アーケードの設置された市場を歩く事
です。光州の市場は中心部から北に300mほど離れた場所に形成されています。名前は大仁市場と言います。ここは比較的食品を扱
う商店街が多く、中でも海産物を扱う商店が目立ちました。この市場には屋台の類はなく、市場と言うよりは生活感の強い商店街の雰
囲気でした。
  ←左・錦南路 右・忠壮路

約5時間半に渡って、光州の中心部を一通り周った後、光州駅から路線バスに乗り込み、中心部の東に立地するユースクエアという
バスセンターに移動しました。韓国では都市間の移動は鉄道や飛行機よりも高速バスが主流で、光州空港や光州駅よりも、このユー
スクエアの方が綺麗で、人も多く集まっていました。
ここから高速バスで大邱まで移動します。ここのフードコートでカルビタンを食した後、17時25分発の大邱行き高速バスに乗り込む予
定だったのですが、なぜかバスの発車が遅れ(韓国語でアナウンスがあったが、全く理解できなかった)、17時40分頃に光州を出発し
ました。光州・大邱間の高速は通行量も少なく、対面通行の区間もありました。途中、サービスエリアで休憩がありましたが、日本のそ
れと雰囲気が全く同じで、思わず笑いそうになってしまいました。
事前に調べた情報だと光州・大邱間の高速バスの所要時間は3時間半との事でしたが、実際には3時間ほど、20時40分頃に東大邱バ
スセンターに到着しました。高速バスの運賃は12,300ウォンなので、旅行時のレートで換算すると約1,100円と、八王子・羽田間のリムジ
ンバスより安く移動できました。韓国旅行の魅力はこの移動賃の安さも魅力の一つです(ちなみにソウル・光州間の航空運賃も54,900
ウォンと割安感がありました)
東大邱バスターミナルを降り立つと屋台があったので、オデンを2本ほど食べました。韓国のオデンは出汁は日本のものと殆ど同じ味
が、具はさつま揚げのような魚の練り物がメインで、日本のオデンのように、チクワやハンペンはありません。寒い冬にはとても美味
しく、今回の旅行中は屋台で見つける度に、オデンを食べていました。
東大邱から地下鉄に乗り込み、3駅目の大邱駅で下車。この日は大邱駅近くのホテルに投宿し、テレビを少し見た後、就寝しました。
 
光州・ユースクエアから          →東大邱バスセンターへ

二日目  大邱→大田
この日は少し遅めの8時過ぎに起床。今回宿泊したホテルはレストランがないので、ホテルの近くの食堂でウドンの朝食を摂りました。
韓国のウドンは日本のウドンと殆ど同じですが、当然(?)付け合せにキムチがつきます。

大邱は釜山の北方に位置する都市で、韓国ではソウル、釜山に次ぐ第三都市と位置づけられる事が多い都市です。慶尚北道の道庁
も立地しています。
大邱の中心部は大邱駅の南側一帯に広がっています。大邱駅自体は街外れ、という場所に立地している訳ではありませんが、中心
部の最北端といったような場所に立地しています。
大邱駅前から南方向に伸びる目抜き通りが中央路という通りになるのですが、中央路は2車線の細い通りです。韓国の通りというとソ
ウルの世宗大路のような広々とした道路をイメージするので、この通りを見た時は少し驚きました。中央路沿いに地下鉄も走っていま
す。街を東西に貫く東新路は片側3車線の大きな通りで、オフィスビルや百貨店が建ち並び、光州同様、規模の大きな地下街も形成
されています。この通りは大邱のメインストリートになるのだと思います。東新路の南に並行して伸びる大城路という通りは片側4車線
とさらに広々とした通りになっています。
大邱の繁華街は中央路の東側一帯に形成されています。特に東新路と大城路に囲まれた一帯が繁華な一帯となっています。裏路地
まで商店が密集しています。大邱の繁華街は比較的若者の姿が多く見られたような気がします。
逆に中央路の西側の一帯は年配者の姿が多く見られます。この一帯は繁華街と言うよりも落ち着いた商店街になっており、中でも薬
令市という通りには文字通り漢方薬剤を扱う商店が建ち並ぶ通りで、年配者が健康を求めて訪れていました。
大邱の市場は、上記の薬令市を西に抜けた地点付近に西門市場が立地しています。ここは大きな商業ビルを中心に全蓋式アーケー
ドを設置したいくつかの通りから成る市場で、非常に密集感の強い市場です。もちろん、屋台も数多く出店しており、庶民的な活気に
満ち溢れています。
  
↑ 左から中央路、東新路、大城路

とにかくこの日の大邱は寒かったですね。恐らく終日氷点下だったのではないかと思います。晴天で日差しはあったのですが、とにかく
空気が冷たい感じでした。韓国で地下街が発達しているのは軍事的な側面がある、とか聞いた事がありますが、実はこの寒さから逃れ
るためなのではないか?と今回の旅行で感じました。
約7時間ほどかけて大邱の街を見て周った後、大邱駅発17時32分発の電車・ムグンファ号で大田を目指します。ムグンファ号は日本で
いうと急行電車のような電車にあたります。ちなみに新幹線はKTX、特急電車はセマウル号という電車にそれぞれあたります。ちなみ
にムグンファ号の大邱・大田間の運賃は9,300ウォンとこれもかなり割安感がありました。
のんびりムードで大田まで2時間かけて移動します。ちなみに途中、金泉という駅で結構人の乗り降りがありました。
大田には19時23分に到着。大田駅のフードコートでビビンバの夕食を摂った後、大田の街を少し見て歩きました。途中、商店街では見
事なイルミネーションが施されていました。
ホテルには21時過ぎにチェックイン。
このホテルは部屋にPCがあったので、少しネットで情報収集をした後、23時頃に就寝しました。
  ←大田の繁華街のイルミネーション

三日目  大田→ソウル
7時30分頃に起床し、ホテルをチェックアウトした後、ホテルの近くの食堂でキンパブとラミョン(韓国語でラーメンの事)の朝食を摂った
後、大田駅まで移動し、大田の街を歩きました。

大田は大邱ととソウルの中間に立地する都市で、忠清南道の道庁所在地として発展している街です。京釜線と言うソウル・釜山間の結
ぶ鉄道が通っており、大田からは光州を経て木浦まで至る湖南線という路線も伸びており、鉄道の結節点としての側面も持ちます。
1993年に万博が催された都市としても知られています。
また、大田には科学技術関連の研究所などが集積されており、ハイテク都市としてその名を轟かせています。一部の政府庁舎も移転し
ており、韓国内における重要度も高い都市のようです。さらには中心部の西郊には儒城温泉という大規模な温泉街も形成されています。
このように大田という街は実に色々な側面を持った都市で、都市マニアとしては興味の尽きない都市です。

大田の中心部は大田駅の西側一帯になります。
大田駅前より西方向に伸びる中央路がメインストリートになります。この通りは光州の錦南路や大邱の東新路と同様、大きな地下街が
形成されており、地下鉄も走っています。
大田駅の西約500mほどの地点に大田川が流れており、この川の東手は中央市場を中心とした生活感の溢れる地区、川の西手は若
者向けの商店が中心の繁華街と明確に色分けがされており、この点、大邱の街の造りと類似している点です。また、忠清南道庁付近
には飲食店街が形成されています。
大田の街は地上の繁華街よりも地下街の方が賑わっているように感じました。大田の地下街はかなり規模の大きなもので、大田駅前
から忠清南道庁間の約1キロに渡って形成されています(途中、大田川の区間で50mほど途切れるが)。これだけの総延長距離のある
地下街は世界的にも珍しい部類になるのではないかと思います。大田の街は光州や大邱と比較するとコンパクトにまとまっている感じ
がしますが、地下街も勘案するとやはり大都市なのだな、と感じます。
  ←左・中央路 右・中央路沿いの地下街

大田も結構寒く、屋台で食べたオデンとトッポギ(甘辛く餅などを煮た屋台料理)が冷えた体に沁みました。
大田の街を6時間ほどかけて一通り周った後、大田駅に移動。ソウルに向かいます。
本当はムグンファ号で移動しようと思ったのですが、時間的に丁度良い列車がなく、やむなくKTXに乗りました。
大田発17時6分で運賃は20,100ウォンと高速バスやムグンファ号に比べると割高感を感じてしまいますが、それでも日本と比べると全然
安いですね。
途中、天安牙山という駅の近くでは小雪が舞い、うっすらと雪化粧もしていました。
ソウル駅に18時5分に到着。ソウル駅を訪れるのは3回目なので、駅前の風景も既に見慣れたものになりました。
このままホテルに向かうのはもったいないので、ソウルの中心部に繰り出します。
地下鉄に乗りましたが、光州、大邱、大田と地方都市を周ってきたあとにソウルを訪れると、人の多さに酔いそうになります。
地下鉄で降り立ったのはソウル一の繁華街・明洞。ここも物凄い人出で、格の違いを見せ付けられた気持ちになります。また、今まで周っ
てきた街では日本語の看板など全くと言っていいほど見なかったのに、明洞では至る所に日本語の看板が氾濫し、道行く人の言葉も日
本語が耳につきました。なんだか半分、日本に帰ってきたような気分になってしまいました。
  
↑ 夜の明洞ミニ画像集

明洞で妹から買ってくるように言われていたBBクリームを購入し、地下鉄を乗り継ぎ、金浦空港の一つ手前の松亭駅で下車。駅前にあっ
た食堂でキンパブとキムチラミョンという朝食と殆ど同じ内容の夕食を摂り、駅近くにあるホテルにチェックイン。
荷物の整理をし、今回の旅行の思い出を振り返りながら、就寝しました。

翌朝は6時過ぎに起床し、7時頃にチェックアウトし、ホテルのワゴン車で金浦空港まで送ってもらいました。
諸手続きを行った後、アシアナ航空1025便にて一路羽田空港へ。
機窓からは我が国の象徴の一つである富士山をくっきりと拝むことが出来ました。
 ←駿河湾と富士山

羽田空港には10時45分に到着。到着ロビーに人だかりが出来ており、なんだろうと思っている間に、背の高いサングラス姿の男性が颯
爽と通り過ぎていきました。誰かは知りませんが、韓流スターが同じ飛行機に乗っていたようです。
この後、ターミナル間連絡バスで第1ターミナルまで移動し、立川行きのリムジンバスで立川まで移動し、立川から中央線で八王子まで
移動し、帰宅しました。

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私の近況
【最近読んだ本】
「街道をゆく2 韓のくに紀行」司馬遼太郎(朝日文庫)

【本日のBGM】
「大田ブルース」李成愛(作詞・崔致守 訳詩・三佳令二 作曲・金富海 編曲・竜崎孝路 1983年)
別離(わかれ)のことばも 云えないままに
二人をひきさく 大田(テージョン)発0時50分
逢えるその日は 来るだろか
堪(こら)えきれずに 泣けてくる
あ・・・・・・ 離しちゃいけない 倖せなのに